●起業したばかりのベンチャー企業にとって、取引先の信用を得ること
はそう簡単ではありません。提供する商品やサービスの質には自信が
あるが、販売実績や会社としての歴史が浅い為に話を聞いてもらえない
こともあるのではないでしょうか。
一方、取引の相手方としても、どこの誰だか分からない者から製品
やサービスを購入するのは不安があるものです。購入対象物自体の品質
も気がかりですが、販売元である企業が存続して適切なサービスを
受け続けられるか心配になります。
●ソフトウェア業界では上記のようなベンチャー企業とその取引先の問題を
解消する一つの手段として、エスクロー・エージェントが存在します。
中立的な第三者がソフトウェアを預かり、販売企業の倒産等によりソフト
ウェアの使用が継続できなくなるような場合に、保管しているソフト
ウェアを顧客に使用させるのです。
ベンチャー企業の勃興が激しい米国ではエスクロー・サービスが普及して
いると聞いていますが、日本では破産法上の問題があり、本格的な普及は
これからと思われます。
●英文契約書では以下のような文言が記載されることがあります。
Escrow Agent is in the business of providing third party software
escrow protection by storing, retaining and allowing limited access
to proprietary computer software, related media and materials.
「エスクロー・エージェントは、コンピュータ・ソフトウェア、並びに
それに関連する記録媒体及び資料を保管・保持し、アクセスの制限を
行うことで、ソフトウェアの第三者預託保護の業務を行う」
