【evaluation:評価】


●契約交渉をしていて相手と何度かやり取りをしていると、プロジェクト
に対する考え方が全く異なっていることに気付くことがあります。
例えば技術供与のライセンスに関して、こちらは当該技術の検討・評価
目的であるのに、相手は完全にビジネスライクな考え方をしている場合
です。私が常駐している団体は先端技術の標準化推進を業務目的として
いるため、ライセンスの相手方とプロジェクトに対する理解の齟齬が
発生することが度々あります。海外の企業相手ですと尚更です。


プロジェクトの位置付けが異なれば、契約で規定すべき権利義務の内容に
食い違いが出ることは当然です。こちらが当然と思っている文言が、
相手からは的外れな議論に見えてしまうこともあるでしょう。その場合、
もはや法務同士の話し合いでは問題は解決しません。このような事態に
陥ることを防ぐためには、社内・社外を問わず関係者の理解の擦り合わせ
を初めの段階で行っておくべきです。そして、そのような理解を促すこと
はプロジェクト担当者の役割です。面倒でもこまめな打合せは大切だと
思います。


●検討・評価目的のライセンスでは対価の取り扱いも通常のライセンス
とは異なるでしょう。以下のような文言が記載されることがあります。


No royalty will be paid on copies of the Work furnished gratis for review, advertising, 
promotion, bonus, evaluation or like purposes, 
or on copies returned to the Publisher unsold.


「レビュー、広告、拡販、贈答、評価、もしくは同様な目的により無料で
配られたコピー、または、売れずに出版社へ返却されたコピーに対しては
ロイヤルティーは支払われないものとする。」