【放棄:waiver】 ●英文契約書で出てくる放棄とは、「放棄する」ということではなく、 「放棄することを排除する」という文脈で出てきます。それは、契約 当事者がある条文に基づく権利を行使しなかった場合に、契約上の当該 権利を放棄したとは見なさないというものです。 たまたま一度の権利不行使で当該権利を永久に放棄したと見なされるのは、 ビジネスにおいては非常に不都合です。以前、条文が無効だった場合の 条文の「分離」という意味のseverabilityを解説しましたが、それと同様 に、英文契約書では色々な場面を想定して条文が作成されています。 言わば、保険として、権利放棄の排除を宣誓しておくわけです。 ●契約書中では以下のように使われます。 Any waiver or failure to enforce any provision of this Agreement on one occasion will not be deemed a waiver of any other provision or of such provision on any other occasion. これを翻訳すると以下のようになります。 「ある機会における本契約の条項により規定された権利の不行使は、他の 条項に定める権利の行使を放棄するものではなく、また、別の機会における、 当該条項の権利の行使を放棄するものでもない」 |