Xの家の隣地にある建築物が建築基準法に違反した危険なものである
にもかかわらず、建築基準法上の規制権限の発動がなされない場合、
Xは、当該規制権限の不行使につき、不作為違法確認訴訟を提起する
ことができる。
(平成19年第17問)


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解説
行政事件訴訟法3条5項は「不作為の違法確認の訴え」とは、「行政庁
が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決を
すべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を
求める訴訟をいう。」としています。

本定義によると不作為違法確認訴訟の対象は申請行為に対する行政庁の
不作為のみです。なぜなら、行政庁は申請を行わない者へ応答する義務
を負わず、それ故、この場合の行政庁の不作為は違法の問題を生じない
からです。従って本問ではXは建築基準法上の申請者ではありません
ので不作為違法確認訴訟を提起することはできません。
 
発展学習として、本問においてXが義務付けの訴えを提起できるか
考えてみましょう。

関連条文
行政事件訴訟法

(抗告訴訟) 
第三条  この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟を
いう。 ・・・
5  この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、
相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことにつ
いての違法の確認を求める訴訟をいう。