国家賠償法2条に定める営造物は、道路・河川などの不動産を指し、
公共団体が管理する動産の瑕疵については、それを管理する公務員の
同法1条に基づく責任が問題となるほかは、同法2条の適用を受ける
ことはない。
(平成19年第20問)


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解説
国家賠償法2条1項に定める賠償の対象は「公の営造物」です。「公
の営造物」とは、国や地方公共団体が公目的で使用する有体物一般を
意味します。

国や公共団体が管理する有体物によって被害を受けた国民の救済を
図ることが本条の趣旨です。この趣旨から考えると対象を不動産に
限定することは合理的ではありません。
 
発展学習として、民法717条の土地の工作物等に関する責任と内容を
比較してみましょう。

関連条文
国家賠償法

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損
害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。 
2  前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公
共団体は、これに対して求償権を有する。

民法

(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 
第七百十七条  土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じ
たときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、
占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しな
ければならない。 
2  前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。 
3  前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有
者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。