AがB所有の土地をCに売却した場合で、AがBから土地の所有権を
取得してCに移転できない場合、Cは、契約時にAに土地の所有権が
ないことを知っていたとしても、契約の解除ができる。
(平成19年第27問)


回答 ○

解説
民法561条は「売主がその売却した権利を取得して買主に移転する
ことができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。
この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを
知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。」と
定めています。 

560条により他人物売買が法律上認められており、買主は目的物が
他人の所有物であることを知りながら、権利が売主に移転されること
を期待して取引に入ることも法は予定していると考えられます。そうで
あれば権利が売主に移転しなかった場合に、契約関係を清算させること
を認めるのが合理的です。但し、敢て知りながら取引に入った以上、
権利が移転できなかった場合のリスクは買主も負うべきですから、損害
賠償はできないこととされています。

発展学習として、561条の法的性格と、善意の買主が有する損害賠償
の範囲について考えてみましょう。


関連条文
民法

(他人の権利の売買における売主の義務) 
第五百六十条  他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に
移転する義務を負う。 

(他人の権利の売買における売主の担保責任) 
第五百六十一条  前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転す
ることができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の
時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることが
できない。