営造物の管理責任は、公物として正規に管理されている行政財産に
ついてのみ及び、事実上私人によって道路として利用されているに
過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条の適用を受ける
ことはない。
(平成19年第20問)


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解説
国家賠償法2条1項は、公の営造物の設置又は管理の瑕疵により損害が
生じた場合に、国又は公共団体(以下、国等と言います。)が賠償責任
を負うことを定めています。条文上は、管理の主体を明確にしていません。

同条項の趣旨は、道路や公園などの公共施設を設置し、特別な事情が
無い限り、制限無く国民の利用に供する以上、国等は当該施設の
安全性に責任を負うべきであり、当該施設から生じた損害は賠償すべき
であるというものです。この趣旨から考えると、本来、公の営造物は
国等が管理すべきであり、それを何らかの事情で私人に任せたからと
いって、国等が責任を逃れるものではないと考えます。

発展学習として、国や公共団体が管理しているが、公の用に供されて
いない営造物の管理責任について、国家賠償法2条が適用されるか
考えてみましょう。

関連条文
国家賠償法

第二条  道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損
害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。