【ownership, title:所有権】


●国際取引契約を締結する際、対象となる製品の所有権の移転時期と、
輸送中の製品の滅失等に対する危険とを売主と買主のどちらが負担するか
は、注意すべき点です。契約書では“title and risk”(所有権と危険
負担)条項でこの点を取り決めます。


日本の民法では原則、契約締結と同時に所有権が移転します。そして、
536条により債務者(製品の引渡し義務を負う側)が危険を負担するのが
原則です。しかし、これには例外があり534条では、特定物(絵画や中古車
等の物の個性に着目して取引される物)の取引につき、債権者(製品を
受領する権利を有する者)が危険を負担します。どいう意味かというと、
例えば、マンションの売買などで売買契約締結後に、地震が発生して
マンションが倒壊したとします。買主はマンションをもらいうけることは
できませんが、代金は支払わなければならないのです。特約をもって
この規定を排除することは可能ですが、恐い話ですよね。


●国際取引では、この点について両当事者の合意により決めます。通常、
商人であれば出来る限り早く製品の所有権を取得して、転売等の利益
を得たいですから、利益を受ける分、危険も負担するというのが一般的と
思います。「英文契約書なんて恐くない!」vol14で解説しましたが、実務
では保険を利用して損失を回避することになります。


契約書中では以下の通りに使用されます。

TITLE AND RISK
Risk of damage to or loss of the Goods and title in the Goods shall
 pass to the Purchaser in accordance with the Contract.


これを翻訳すると以下のようになります。


「製品に対する損害、損失の危険、及び所有権は、契約に従って買主に
移転するものとする」