日本に在留する外国人のうちでも、永住者等であってその居住する
区域の地方公共団体と特に緊密な関係を持っている者に、法律に
よって地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与
することは、憲法上禁止されない。
(平成19年第6問)


回答 ○

解説
国民主権の原理の基、国政に関する選挙権は自国民に限られるのが
合理的です。それでは、地方自治に関する選挙権も自国民に限られる
べきでしょうか。

国民主権原理は地方自治に及ぶことからすると、原則として、地方自治
に関する選挙権も自国民に付与されていると考えるべきでしょう。その
一方、憲法92条で言及する地方自治の本旨の一つとして、住民自治が
あげられます。住民自治とは、地方自治が「住民」の意思に基づいて
行われることです。この点からは、定住外国人は住民としての実態があり、
地方自治に密接な関係を有しますから、彼らの意思を地方自治に反映
させることを憲法が禁止しているとまでは言えないと考えます。
最高裁判例も同様の趣旨の判断を下しています。
 
発展学習として、外国人に対して地方自治に関する選挙権を付与する
立法を行わなかった場合に、違憲となるか考えてみましょう。


関連条文
憲法

第九十二条  地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法
律でこれを定める。