不作為義務、非代替的作為義務の履行にかかる直接強制、執行罰の
仕組みについては、一般法の根拠はないので、法律もしくは条例
による個別の根拠が必要である。
(平成19年第9問)


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解説
行政上の目的達成のための強制手段である行政上の強制執行には、
代執行、執行罰、直接強制、行政上の強制徴収があります。いずれも
国民の身体または財産に対する強制を行うものですから、法律の根拠
が必要です。行政代執行法第1条は「行政上の義務の履行確保に関して
は、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。」
としており、強制執行の一般法規として位置付けながら、その後の
条項では代執行についてしか定めていないので、直接強制、執行罰に
ついては個別法規の根拠が必要になります。それでは、条例により
直接強制、執行罰を定めることは可能でしょうか?

この点につき、行政代執行法第2条においては法律の中に条令が
含まれることを明記していることから、第1条で明記していない以上、
第1条の「法律」には条例が含まれないと解釈されています。従って、
条例で直接強制、執行罰を定めることはできないと考えます。
 
発展学習として、新しい義務履行確保手段と言われる行政手法について
調べてみましょう。


参考条文
行政代執行法


第一条  行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律
の定めるところによる。 

第二条  法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜ
られ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限
る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが
困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該
行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を
義務者から徴収することができる。