【material:重要な】 ●今回も法律文書において、特有の意味を持つ単語です。materialと 聞けば「物質」「資料」等の意味がまず思い浮かぶのではないでしょうか。 ところが、法律文書ではしばしば、materialは「重要な」「重大な」 との意味で使われます。例えばmaterial provision(重要な規定)、 material breach(重大な違反)などです。そして、これらの言葉が出て くるのは、大抵、契約の解除原因に関する条文においてです。 ●端的に言うと、重大な契約違反があれば直ちに契約を解除できるという 文脈です。幸いなことに、私の法務人生では未だそのような事態に遭遇 したことはありません。 しかし、重大な違反と言われても、程度の線引きに悩みます。軽微な違反 との境界線って何なのでしょう?やはり、この問題は裁判例や実務例の蓄積 に頼るしかないようです。因みに、賃貸借契約等の長期間に渡り相互の 信頼関係が基礎となる契約においては、契約解除原因となる違反態様の 判定基準は緩和される(信頼関係の破壊と言える程度に重大な違反) ようです。 ●契約書中では以下の通りに使用されます。 In the event of either party's breach of a material provision of this Agreement, if the breaching party fails to cure such breach within thirty (30) days after the non-breaching party's written notice thereof to the breaching party, non-breaching party may terminate this Agreement. これを翻訳すると以下のようになります。 「当事者の一方が本契約の重要な条項に違反した場合、他方当事者は 違反者に対して書面にて通知するものとし、通知後30日以内に当該違反 が治癒されない場合、他方当事者は契約を解除することができる」 |