秘密保持契約書1:「秘密保持契約書なんて必要なの?」


いよいよ英文契約書(agreement,contract)を見ていくことにします。
まずは、秘密保契約書(Non-Disclosure Agreement:略してNDAと呼ん
だりします)を解説しましょう。


「秘密保持!?スパイじゃあるまいし、そんな契約するほどたいそうな
秘密情報(confidential information)なんて無いから関係ないよ・・
・」と思いませんでした?でも、技術革新(innovation)の競争(competition)
が激しい業界では、今や、NDAが無ければ話し合いの席にも着かないとい
うケースもあるんです。


そのような業界でなくても、例えば、貴方もしくは貴方の会社が素晴ら
しい商品(product)を開発(develop)したり、誰も思いつかなかった
ような革新的な(innovative)アイデア(idea)を思いつたとします。
「これは海外で大ヒット間違いなし!輸出して大儲けだ。それじゃあ販
売代理店(agent,distributor:この2つの意味は大きく違いますが、
その解説は別の機会に)でも探そうかな〜」と海外の企業に売り込み
(proposal)をかけたり、サンプル(sample)を送ったとします。


このケースでNDAが無い場合、相手がサンプルを解体して製品の構造(structure)
を調べたり、アイデアを真似したとしても文句のつけようがありません。
いざその国で商売しようと乗り込んだときには、他の会社が既に類似(similar)
の製品で市場を抑えていた(dominate)なんてこともあり得るのです。
最近では、特に、中国への技術流出(technology erosion)を懸念する
企業も多くなっています。


また、ビジネスの前段階としての、話し合いにおける情報のやり取り(exchange)
なら通常は無償(free of charge)ですし、とりあえず相手方との付き
合いを始める第一歩(first step)として、NDAを締結するという進め
方も考えられます。NDAを締結しておけば、お互い安心して手の内を見せ
合う(diplay one's skill)ことができ、新しいビジネスの種
(seeds of new business)が生まれる可能性が飛躍的に高まることでしょう。


先日、私が国際ビジネスの顧問をしている会社に、米国大使館(American Embassy)
経由で売り込みがあったのですが(外国企業は大使館経由で売り込みと
いうのは常套手段のようです)、社長に「とりあえずNDAを結んで話し合
いをしましょう」と提案した(proposed)ところ、こちらから切り出す
前に、先方からNDAの雛型(sample)を提示されてしまいました。


国際ビジネスにおいては、リスクに対する自己責任(responsibility)
の度合いが、国内ビジネスとは比較にならない(beyond comparison)
程度に大きくなります。また、今後のビジネスにおいては知的財産
(intellectual property)の管理が成功の鍵と言われています。その
こと念等に置かれ(keep in mind)、是非とも、「まずはNDAの締結から」
という意識を持って頂きたいと思います。