【売買契約書2「どれだけ買うか決めましょう!」】 ●今回の売買契約書の解説では、個別の売買で(基本契約ではなく)、 海外の製品を輸入するケースを想定します。それでは具体的な条文を見て いきましょう。 ●契約書のタイトルは大抵、“sales agreement”になると思います。 タイトルの後には、契約当事者(pary to the agreement:以後はparty hereto という形で記載されます)の名称・住所の記載が続きます。既に 「英文契約書なんて恐くない!vol3」で解説済みですが、確認迄に例文 を挙げます。 This Agreement was made this day of 日付("Effective Date"), by and between:社名("X")、本店住所 and 相手方社名("Y")、相手方 住所 ●当事者の紹介の後に、前文が付けられることがあります。簡易な契約書 では省略される場合が多いです。現代の英文契約書において、今回取り 上げるような日常的な売買契約では、特に前文が必要とは考えません。 書くとしても以下のような簡潔な文章で十分と思います。 WHEREAS, X is desirous of purchasing the 製品名 ("Products") produced by Y; WHEREAS, Y is willing to sell the Products to X; NOW THEREFORE, the parties hereto hereby agree as follows: 「XはY社製の製品を買うことを欲し、YはXへ当該製品を売ることを 欲するため、両当事者は以下の通り定める」 ●そして、売買するにあたっては、何はともあれ、何をいくつ買うのか 決めましょう。以下の文言のようになります。 Y shall sell X, and X shall purchase from Y 50 of the Products. 「YはXへ50個の製品を売却し、XはYより当該数の製品を購入する」 読んでいて、まどろっこしいと思いませんか?単純に「XはYから製品を 購入する」で良い気もします。実際に、そのように書かれていても、実務 上、問題が発生することはまず無いと思います。しかし、売買契約は、 売り手の売る意思と買い手の買う意思が合致して初めて成立するものです (意思主義と言われます)。それを厳格に文面に表そうとすると、上記の ような堅苦しい表現になってしまいます。 尚、製品にいくつか種類があって、種類ごとに数を分けて売買する場合は、 以下のように記載すれば十分です。 Y shall sell X, and X shall purchase from Y 120,000 products, in detail 40,000 of 種類, 40,000 of 種類, 40,000 of 種類. ●ところで、物によっては個数で表現できないものもあります。液体 や気体であれば、容器単位や重量、面積等で取引きされるでしょう。 そのような場合は単位で取引量が記載されることになります。但し、 単位は国によって異なりますので、どの単位で表記するかは注意する 必要があります。 主な単位と一般的な表記方法は以下の通りです。 長さ センチ(cm) メートル(m) キロメートル(km) インチ(in)=2.54cm フィート(ft)=30.48cm ヤード(yd)=91.44cm マイル(mi)=1609m(ここまで長い単位は使わないかもしれませんが) 重さ グラム(g) キログラム(kg) トン(t) キロトン=メトリックトン(M/T)=1,000t オンス(oz)=28.35g ポンド(lb)=453.6g 英トン(long ton)=1,016g 米トン(short ton)=907g (英トン、米トンが実際にどういうケースで使われているかは 分かりません) 面積・容積 平方メートル(m2)※2は2乗の意味 アール(a)=100m2 スクウェア(square)=2乗※a mile square=1マイル四方 立方センチ(cm3,cc) リットル(l,L) 立方メートル(m3,kl) パイント(pt)=英0.57L、米0.47L (英国では牛乳もビールもパイント単位でした) クオート(qt)=946cc ガロン(gal)=3.79L 個数・容器 1ピース=pc 1ダース=dz 1セット=set 1対=pair 袋=bag カゴ=case 樽=barrel 箱、紙容器=box, carton パレット=palette ロール=roll 包み=pack 瓶=bottle ビニール袋=plastic bag 麻袋=hemp sack ●物の中には時間の経過とともに質量が変化するものがあります。 特に、船便で輸送する場合は、積み込みと積み降ろし間の時間が長い ですから、いつの時点での数量とするか決める必要があるでしょう。 数量の部分に、船積み数量(shipped weight)なのか陸揚げ(landed weight)なのか明記しておけば問題ありません。 さらに、鉱物や穀物など、正確な数量を計測したり、ぴったりと切りの 良い数量で売買することが不可能な物があります。そのような物に 対しては、一定範囲のプラスマイナスは許容することが通常でしょう。 以下のような文言を付けます。 quantity is 1,000MT, 2% more or less in seller's option 「売却量は1,000メトリックトンとし、2%以内の過不足は販売者の 任意による」 |