【binding:拘束力のある】


●「契約は契約当事者を拘束する」こんな当たり前のことを、改めて認識
させるニュースが新聞紙面をにぎわせています。某大手銀行2行の
合併交渉に先立ち、一方の銀行が別の銀行と信託部門の統合交渉に関する
基本合意を締結していたことが問題となっているのです。東京地裁は
基本合意の法的拘束力を認め、信託部門の統合交渉を差し止める仮処分を
決定しました。


部外者には基本合意の詳細な内容が明らかではないので、最終的にどの
ような決着を見るか分かりません。明らかなのは、いかなる形式であれ
当事者間の合意が契約として残っている以上、その効力を一方的に
無かったことにするのは難しいということです。今回の事態を契機として、
契約を解除・解約する際の詳細な規定(解約手続きや解約金等)の必要性
が認識されていくことと思います。契約締結に際しては、解約する可能性
をも考慮する必要があるのです。


●英文契約書では以下のような文言が記載されることがあります。


This Agreement and any supplement to it shall be binding on the
 parties only after acceptance and execution by an authorized
 representative of each party.

これを翻訳すると以下のようになります。


「本契約および本契約を補充する一切の合意は、各契約当事者の権限ある
代表者により受諾され署名された後において初めて両当事者を拘束する」