【authority:権限】


●日本語で契約書を取り交わす際は、契約書に契約締結者を記名し、
その者の印を押印するのが通常です。英文契約書ですと、押印の代り
に署名、つまりサインをすることになります。時々問い合わせがある
のは、「契約締結者を誰にすべきか?」ということです。


規模が小さな会社であれば、とりあえず「代表取締役」であれば間違い
ありません(株式会社では会社を代表する取締役を定める必要があり
ます。有限会社では、代表の定めがなければ取締役が各自代表権限を
有しています)。


●一方、規模が大きな会社だと、何でもかんでも代表印を押印するのは
大変です。社内規程等で部長クラス程度にまで、契約締結権限が与えら
れているのではないでしょうか。権限の無い者が押印した契約書は効力に
問題がありますので、相手の役職には注意すべきと考えます。このよう
な場合に民法上は、表見代理の成立を主張する、または、無権代理人の
責任を追求するなどの対策はありますが、国際取引で同様の責任追及が
できるかは分かりません。


●英文契約書では以下の通りに記載されることがあります。


Each party warrants that it has full power and authority to enter
 into and perform this Agreement, and the person signing this 
Agreement on the party's behalf has been duly authorized and
 empowered to enter into this Agreement.

これを翻訳すると以下のようになります。


「いずれの当事者も、本契約を締結し履行する全ての権能及び権限を有して
おり、当事者を代表して本契約に署名する者は本契約の締結を適法に
授権され、委任されていることを保証する」