【arbitration:仲裁】


●前々回、前回の準拠法(governing law)と裁判管轄(jurisdiction)
の説明において、交渉がもめることが多いと述べました。そういった
場合の解決策の一つが仲裁条項です。特定の国の法律や裁判所に拘束
されるのではなく、国際仲裁に紛争の解決を委ねるのです。


大規模な案件では国際仲裁制度が活用されていると聞きます。日本
にも(社)日本商事仲裁協会(Japan Commercial Arbitration 
Association)があり、国際仲裁を行っています。仲裁条項を設ける
場合には、仲裁場所や仲裁言語等のルールを詳細に規定することになり
ます。一義的には当該ルールに従った仲裁内容が当事者を拘束します
ので、十分に注意した上で条文を作成する必要があります。


●英文契約書では以下のような文言が記載されることがあります。


Any dispute which cannot be amicably settled by the parties
 within 30 days after written notice is given of the dispute
 may be submitted, by one of the parties, to arbitration under
 the Arbitration Rules of the International Chamber of Commerce.
 The arbitration proceedings shall be conducted in California.


「本契約から発生した一切の紛争で書面による通知から30日以内に友好的に
解決されないものは、当事者の一方により国際商業会議所の仲裁規則による
仲裁に解決を委ねられることがある。仲裁手続きは米国カリフォルニア州で
行われるものとする」