【residual information:残留情報】


●残留情報とは秘密保持契約により相手の秘密情報に接した者の頭の
中に残っている記憶のことです。秘密保持契約では、原則として契約
終了後には受領した秘密情報を使用することを禁止しますから、厳密
には人の頭に残っている記憶も使用することはできません。


しかし、実際には記憶を消し去ったり、管理することができない以上、
当該記憶が完全に使用されないことを義務付けるのは不可能です。特に
記憶と自己のノウハウが頭の中で渾然一体となってしまえば、もはや、
それらを明確に区別することは困難です。


それでも、特許にならないようなノウハウがビジネスにおいて決定的に
重要な場合には、何らかの制限をかける余地を残す必要があるのです。
情報管理を厳格にするのであれば、契約書に規定するだけではなく、
何が自己の秘密情報・ノウハウであるか客観的な形で残しておくべき
です。


●英文契約書では以下のような文言が記載されることがあります。


Residual Information means the information that is retained in
 the unaided memories of the recipient's employees or agents
 who have had access to Confidential Information of the discloser
hereto pursuant to the terms of this Agreement.  


「残留情報とは、本契約の規定に基づき情報開示者の秘密情報を入手した
受領者の従業員または代理人が保有する無意識的な記憶を言う」


※原契約書ではこの文言の後に“aided”の定義が続いています。当該定義
から“unaided”は「無意識的」と訳しました。